
先日、岐阜県大垣市にある特別養護老人ホーム「ゴールドライフ大東」さんに、エステティックグランプリの日下理事長と、ソシオエステティックの見学に行ってきました。「ソシオエステティックとは、人道的・福祉的観点から精神的・肉体的・社会的な困難を抱えている人に対し、医療や福祉の知識に基づいて行う総合的なエステティックです。エステティックの施術によって人を癒し、励まし、QOL(生活の質)の向上に寄与し、その人が本来の自分を取り戻すために支援することを目的としています。(日本エステティック協会のHPより)」

今回の見学の背景として、日本には、従来の健康な人に美容を提供するエステティックサロンだけではなく、他の場所でもエステティックサービスは提供されており、私自身この業界に20年ほどおりますが、ほとんど接点もなく、未知の世界だったので、しっかりお話を伺ってきました。しかし、介護施設でエステティシャンが在籍しているケースはほとんどなく、制度的な問題として、エステティックサービスには保険適用されないので、施設のオーナーさんの理解がないと導入されないようです。もちろん個人契約で利用者さんからお金をいただくケースも少ないながらもあるようですが、基本的には利用者さんからお金をいただくのではなく、施設側が雇用または業務委託でエステティシャンに依頼するケースが大半のようです。この分野ではフランスが進んでいるらしいのですが、フランスでも利用者にお金をいただくのではなく、寄付や基金で賄われているそうです。

実際に施術されているシーンも見学させていただきました。ソシオエステティシャンは、チーム医療の一員として、医師や介護福祉士などと連携し、利用者さんの心身のケアを担っています。お話できる方には大変喜ばれておりましたし、お話できない方に対しては、ちょっとした顔の表情や声で察している様子が印象的でした。何よりも利用者さんに寄り添う姿勢、細かな気遣い、丁寧なタッチやタオルワークなどがエステティシャンならではの価値だと感じました。ソシオエステティシャンは、今後特に緩和ケア、認知症ケア、機能訓練分野などにおいても重要な役割を果たすようになるとおっしゃっていました。エステティックによる「触れるケア」が、利用者さんの不安や緊張を和らげ、心理的安定や脳機能への刺激につながることが期待されているそうです。そして、家族や介護士さんには言えない悩みの傾聴を行うことで、利用者さんの自己肯定感を支え、生きる意欲を取り戻すきっかけをつくる存在になりたいとおっしゃっていました。エステティックサロンで日々エステティシャンがやっていることが、介護施設の現場では当たり前ではなく、ものすごく価値のあることなのだと再認識できました。

なかなか個人情報の観点からもSNS等での発信が難しく、認知や理解が広がっていかないらしいですが、エステティックグランプリとしても、同じエステティックを担う団体として、広めていきたいですね!



